新刊「日本論 文字と言葉がつくった国」

この世に日本語と呼べるようなひとつの言語がまずあって、その外側に、これを表記する道具としての文字として、漢字があり、ひらがながあり、カタカナがある――といった考えかた。これが大まちがいだと著者は言います。
それでは、ほんとうはどうだったか。「日本語」というのはなかった。実際にあるのは、漢字語とひらがな語とカタカナ語。三つの言葉があって、これらが入り混じった言語をわれわれは、大まかに日本語と呼んでいるにすぎない。こう考えれば、漢字語がなくならないかぎり漢字はなくなることはなく、ひらがな語がなくならないかぎりひらがなはなくならない。カタカナ語がなくならないかぎりカタカナはなくならない。だから漢字も、ひらがなも、カタカナも、そのまま生きつづけて現在にいたっている。そのしくみがよくわかるはずだというのです。
「日本語」があって、それを漢字・ひらがな・カタカナで「書く」ということと、「日本語」はなく、あるのは漢字語とひらがな語とカタカナ語、この混合物を「日本語」と呼んでいる、というふうに考えることとの違い、この飛躍はなかなかむずかしい。同じことではないかと一般には考えられてしまいそうですが、ほんとうに、なるほどわかったというふうに腑に落ちると、ものを見る見かたがガラッと変わって、いろんなものが今までと違うかたちで見えてきます。
世界にも希な漢字仮名交じり文という表記法を有し、その下で文化を発展させてきたわれわれの意識構造には何が刻みこまれているのか、変えることはできるのか……。少なくとも、われわれがいかなる存在であるかを認識することはできるはず。「文字と言葉」という観点から和辻哲郎『風土』、九鬼周造『「いき」の構造』、新渡戸稲造『武士道』、鈴木大拙『日本的霊性』、土居健郎『[「甘え」の構造』、ベネディクト『菊と刀』、中根千枝『タテ社会の人間関係』などの日本文化論の名著といわれる書物を読みなおすとき、思いがけない「この国のかたち」が見えてきます。

著者:石川 九楊
定価 : 本体1,500円(税別)
単行本(ソフトカバー): 208ページ
出版社: 講談社 (2017/10/11)
発売日: 2017/10/11

講演会「NHK文化センター」

全国の各教室にて石川九楊先生による講演会が行われます。

1:青山教室
テーマ:一枚の書 名書100選~書を読む、書を解く、書を知る~
日程:2018/04/17(火)、05/15(火)、06/26(火)、07/17(火)、08/07(火)、09/18(火)、10/16(火)、11/13(火)、12/18(火)、2019/01/22(火)、02/05(火)、03/05(火)
受講料:40,435円 教材費:1,296円
※申し込みはこちら

2:町田教室
テーマ:にっぽんの国宝を知る書
日程:2018/05/09(水)
受講料:会員:3,369円 一般(入会不要):4,050円
※申し込みはこちら

3:広島教室
テーマ:書に向き合う心 ~書の楽しみ方、見方、学び方~
日程:5/25(金) 15:30~17:00
受講料:会員:3,369円 一般(入会不要):3,931円
※申し込みはこちら

4:福山教室
テーマ:書に向き合う心 ~書の楽しみ方、見方、学び方~
日程:2018/05/26(土)
受講料:会員:3,369円 一般(入会不要):3,931円
受講料:会員:3,369円 一般(入会不要):3,931円
※申し込みはこちら

5:札幌教室
テーマ:「臨書の心を語る」
日程:2018/06/07(木)
受講料:会員:3,369円 一般(入会不要):3,931円
※申し込みはこちら

京都精華大学 連続公開講座 「日本語を考える。」

日程:2018年5月21日(月)~ 2018年12月10日(月)
時間:13:00 ~14:30
会場:京都精華大学 春秋館2階 S-201
※大学に駐車場はございません。公共の交通機関をご利用ください
※地下鉄「国際会館」から大学まではスクールバスを運行しています

第1講 5月21日(月)日本語と国語
第2講 6月18日(月)文語と口語
第3講 7月9日(月)自立語
第4講 10月8日(月)故事成語
第5講 11月19日(月)付属語
第6講 12月10日(月)言葉遊び

問い合わせ先:
京都精華大学 教学グループ 教務チーム
Tel:075-702-5119