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名僧の書
古代の渡来僧から近世の禅僧まで、日本文化に多大な影響をもたらした傑僧・奇僧50名を取り上げ、その一点一字から書の本質を読み解きます。なごみ2010年1月号から2011年12月号までの連載「僧の書の力」に加筆修正と書き下ろし原稿を追加。それぞれの書を一字一字なぞることで、書としての評価を下すだけではなく、《筆蝕》から筆者の人物像までも読み取り、通説と照らし合わしながら、新しい人物像を提起する。政治家・知識人として日本の歴史に足跡を残した僧たちの真実の姿に迫ります。
●淡交社
●定価 2,625円 (本体価格 2,500円)
●判型 A5判
●ページ数 287ページ
書 文字 アジア
書の美はどこからくるのか。戦後最大の思想家と現代書の鬼才による幻の白熱討議、全十二時間!良寛、副島種臣、高村光太郎、宮沢賢治、岡本かの子、井上有一―などの書字の構造を読み解き、文字や言葉が孕む本源的問題に迫るとともに日本的なるものの深層を浮彫りにする。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
吉本/隆明
1924年東京生まれ。東京工業大学電気化学科卒業。詩人・評論家。2003年『夏目漱石を読む』で小林秀雄賞、同年『吉本隆明全詩集』で藤村記念歴程賞、2009年宮沢賢治賞を受賞
石川/九楊
1945年福井県生まれ。京都大学法学部卒業。書家・評論家。京都精華大学教授。1990年『書の終焉―近代書史論』でサントリー学芸賞、2002年『日本書史』で毎日出版文化賞、2009年『近代書史』で大佛次郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
●共著:吉本 隆明氏
●筑摩書房
●定価 2,415円 (本体価格 2,300円)
●判型 四六判
●ページ数 272ページ
二重言語国家・日本
説き語り日本書史
Taction
内容説明(英語)
You have in your hands an unprecedented account of the history of East Asian calligraphy. Here is a book every bit as accessible and fascinating for noncalligraphers and for individuals unversed in kanji as it is for calligraphers and for kanji-literate readers. The author, Ishikawa Kyuyoh, speaks of “the drama of the stylus” [brush and chisel], and he brings that drama alive by positioning it in compelling context: historical and spiritual, as well as artistic and cultural. Ishikawa has been a leading light in the calligraphic firmament for more than 40 years. He has continuously highlighted new expressive possibilities through work that is at once avant-garde and firmly rooted in calligraphic tradition. As interpreted by Ishikawa, calligraphy’s spiritual orientation engenders a powerful creative tension. “The calligrapher’s tension,” he insists, “is part of the spiritual awareness that is inseparable from the act of writing. It is the unrelenting self-scrutiny of the calligrapher who would fulfill a commitment akin to a holy vow.”
●Waku Miller 訳
●長銀国際ライブラリー叢書
●定価 2,500円 (本体価格 2,381円)
●判型 23.2×15.8×2.6cm
●ページ数 324ページ
万葉仮名でよむ『万葉集』
近代書史
第36回「大佛次郎賞」受賞!!
すべては本書への助走だった。――東アジアの文化の根幹をなす「書」は、近代にいかなる軌跡をたどったのか? 日本の近代・現代の書の歴史を、専門書道家だけでなく文学者や画家など知識人の書跡、生活者の日常書字や印刷文字までも含めて、表現された書の丹念な読解により初めて全体として捉えた、前著『日本書史』に続く石川九楊の絢爛たるライフワーク。
「大佛次郎賞」選考委員による選評:
【池内了氏:「全体を普遍的に把握」】
書については全く素人で、「書は人格なり」との風潮に反発を覚えていた私であったが、この本を読んでいるうちに書の世界の奥深さと拡がりに感じ入り、知らず知らず引き込まれてしまった。
著者の方法は分析的であると同時に統合的である。……(中略)……近づいて一点一画を見つめるとともに離れてその全容を眺め、二つの視線を重ね合わせる。そして、そこで得た感懐を多様な言葉を駆使して的確に表現する。その意味では、実に科学的な書論とも言える。……
【川本三郎氏:「美の本質に熱く迫る」】
書の世界とはこんなにも深いものだったのか。
近代の書のすべてを語り尽くそうとする大著、巨大な本だが、量もさることながら何よりも圧倒されるのは、書の美を究めたいという石川九楊さんの熱気だ。
これほど熱い研究書はそうはない。書の美を追究する。なぜある字は美しいと感じ、ある字は美しくないと感じるのか。石川九楊さんは美の本質に迫ろうとしている。……(中略)……
最後に石川九楊さん自身の書が紹介されているが、その自由奔放な書には「これが書か」と仰天させられる。
【高樹のぶ子氏:「新しい世界見えてきた」】
思いがけない方向から不意打ちをくらった。書は「美学」ではなく「文学」であり、「造形」ではなく「言葉」である。目から鱗が落ちた。鱗が落ちた目に、新しい世界が見えてきた。書をする筆の先が書家そのものになり、精神と肉体になり、言葉を語る声になり、さらには人生になっていく。……(中略)……
「書」が「言葉」だと知ることで、書かれたものがたちまち人格と人生を持つこの魔術的な革新は、実は創造と想像の力に負っている。白紙に黒く残された文字の化石から、書家の人生と人格を再生させるには、言葉をよすがとする強力なフィクション構成力が必要で、もっとも古めかしく見える作業の裏でフル稼働する、小説家と同質な才能が、書に無知な人間をも惹きつけてやまない。
【山折哲雄氏:「尋常ならぬ自信と覇気」】
……文字通り刻苦精励のたまものである。これらの仕事は「書」という問題をひっさげて、東アジアに広がる漢字文化圏の全体を睥睨する勢いを示している。その自信と覇気は尋常なものではない。……(中略)……明治以後のわが国の書が「近代」といかに格闘し、どこに表現の可能性を求めてきたのかを、柔軟な筆致で詳述している。
冒頭に良寛の書をもってきて序論を展開しているのも秀逸であるが、最後に石川氏自身の書を掲げて創作の秘密を解き明かしているところには驚かされる。……
●名古屋大学出版会刊
●定価 18,900円
(本体価格 18,000円)
●判型 A4判・上製函入
●ページ数 776頁
日本書史
続篇『近代書史』(名古屋大学出版会刊、2009年)の前提となる、重要な著作。
「毎日出版文化賞」選評【選評者:松本健一 氏】:
『日本書史』は、漢字ではなく、書字を東アジアの文化の根底にとらえ、その「書」の文化が日本でどのような展開をみせたかを説いた、画期的な文化史である。
しかも、その日本の「書」の考察から分かることは—日本書史は中国書史の辺縁にあって、小さく、ささやかで、いくぶん歪んだものである。これは、日本書史が中国文化に途中から入り込み、そうして東アジアのなかでは「いち早く近代化を達成する」ことによって、途中から下車した事情によっている、と。
著者の書史は、具体的な「書」の分析をともなって、鮮やかである。たとえば、頼山陽の「修史偶題」は、江戸時代の「唐様」の第一級品だが、にもかかわらず「ああ日本の書だなァ」とおもわざるをえない。また、幕末の三筆のひとり巻菱湖(まきりょうこ)は、「近代の習字教師の祖」にすぎない、というように。(松本健一 氏)
●名古屋大学出版会刊
●定価 15,750円
(本体価格 15,000円)
●判型 A4判・上製函入
●ページ数 604頁